着物の縫い目を見たらわかる、手縫いとミシン縫いの違い

海外(ベトナム)手縫い仕立てやミシン仕立てが増えている中、嘉洛では6年間住み込みの修行を積んだ、日本和装士会の検定に合格した、40年以上の経験と知識(いろいろな縫い方を知っている)で、お客様にとって「本当に気持ちのいい、着やすい」お仕立てをプロの和裁士が仕立てをしております。

高級品のお仕立ては国内の和裁士の手縫いが、体型や好みに合わせて仕立てするので、衿元と裾の広がりをその方に合わせることができるので、高級品のお誂えや特殊な体型の人には、海外手縫いやミシン仕立てよりも、国内手縫いのほうがシックリして、着やすい着物に仕立上がると思います。

今から47年前、昭和51年にNHK朝ドラ「ひよっこ」の舞台にもなった北茨城から、和裁のプロを目指して東京へ上京しました。

東京の和裁所には、全国から和裁士を目指す、50人位の若い人達と共同生活をしながら、6年間の住み込み修業が始まります。

和裁所は、1年生から6年生の縦社会で、1年生の私達の仕事は、お勝手、掃除、雑用を交代でしながら、運針から教わりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が入所した和裁所は、あぐらをかいて、左足の親指で布を挟んで縫う「男仕立て」でしたので、なれるまで足がしびれることが、多々ありました。

2ヶ月が過ぎた頃、大先生から晒しで肌襦袢の縫い方を教えていただけることとなり、白い晒し地に、赤い糸で縫うように言われましたが、赤い糸だと糸目がとても目立ち、縫い目が綺麗に揃うまで、縫っては解き、解いては縫うの繰り返しでした。

大先生の検品を受け、合格するまで何度も縫い直しして、最後に白い糸で縫って完成しました。

同期の中で、縫い目が綺麗に縫える人から、浴衣や長襦袢、単衣きものを先輩から教わりながら仕立てるようになり、縫い上がった物は、先生が検品して同期の前で評価されるので、お互いに競うようになりました。

入所して、初めてお盆休みに1週間田舎に帰省して、和裁所に帰ってきたら、同期8人のうち3人は、和裁所に戻って来ませんでした。

当時の私の日記に、「自分に負けるな、頑張れ」と書き綴られていました。

39年前、嘉洛の専任和裁士となりお客様と相対するようになって、今まで仕立て伝票通りに綺麗に縫うことを心掛けてきましたが、一人一人の体型が違うことに気付き、これからはお客様が着やすく、着姿がよく見える採寸をして体形に合った寸法で仕立てすることが大事だと気付かされ、それ以来、着やすくスマートに見えるをコンセプトに仕立てをしております。

着物を着るときに縫い目のひと目ひと目まで気にとめる方は少ないかもしれませんが、目立たないところでも手を抜かず、丁寧に着物を仕立てことが、着物に対するプロの和裁士の仕事だと思います。

お客様から仕立て上がりについて好評をいただいておりますが、初心を忘れずにひと針ひと針丁寧な仕立てを心がけております。

着物の縫い方には「手縫い」と「ミシン縫い」があります。

手縫いの特徴

手縫いは基本的に一本の糸で、布に対して針を斜めに入れて布への負担を減らし、縫い目に一定のゆるみを持たせることで、布への負担を少なくなるように縫っています。

メリット

人の手で縫われているので、引く力の強さを平均に保ち、布がゆるまなくつり合いもいいので、着用したとき体に馴染みやすいです。

また、手縫は縫い目に一定の遊びを持たせるため、生地にかかる負担を少なくするようになっているので、生地が突っ張っても、布が切れる前に縫い糸が切れるような仕立てになっています。

座った時などに、縫い目が伸縮するので、布が引っ張れる力を調整してくれます。

あと、生地巾いっぱいで仕立てしたいという時には、手縫はミシン縫いより優れています。

ミシン縫いは、生地の端から約1㎝位マチが必要ですが、手縫では生地の端から約2~3㎜ギリギリで縫うことができます。

現在の方は体格も大きくなっているので、お母さんや叔母さんの着物を、仕立て直しの場合は、手縫い(国内)に限ります。

デメリット

ミシン縫いより、仕立代が高価であること。

頻繁に洗うと、縫い糸傷んで解けてしまう可能性もあること。

ミシン縫いの特徴

ミシン縫いの場合は、布に対して直角に針を入れていき、上糸と下糸の2本の糸を使い、大きい針で挟むように縫っていくことで、強度な縫い方となります。

メリット

ミシン縫いの強みは、丈夫な点です。
着物を日常的に着る方は、洗う事が多くなると思いますが、そうゆう方には、洗う回数が多くても解ける心配のないミシン縫いがオススメでしょう。

デメリット

針穴が大きく、布に直角に針が入ります。すると布の織り糸に針が入り、布の糸を切ってしまうため、針穴が残りそれによって、仕立て直しができない事もあります。
メリットである縫いの強度が強い分だけ、適度な遊びがなく、布地を先に傷めてしまいやすい。

和裁にはいくつもの工程があります。

その中で、縫い始める前の準備として大切なポイントとして「地のし」(布をしっかり詰めて、織り目を整える)をします。

裁ち板に白木綿をかけたアイロン台を置き、袷の場合八掛、着物地、胴裏の順にアイロンを当てます。

う布目を詰めることで、正確な仕立てには欠かせない作業です。

あと、着物が仕立てあがったとき、着たときに一番美しく見えるように柄の配置を調整する「柄合わせ」も重要なポイントです。
振袖や訪問着などは、着物に柄を描くときに柄合わせがされていますが、紬や小紋の着物は和裁士のセンスが問われます。

基本的には、反物の端から袖を2枚分、身頃を2枚分、衽、衿をとっていきます。
けれど、一度裁ってしまうと、元には戻せません。

ここで難しいのが、生地を裁つ前にここまでの柄合わせをイメージしなければならないこと。
そのため、反物を折り返してつもった状態で、袖や身頃によい柄がきているか、折り返したそれぞれの場所をめくったり、横に並べてみたりして仕立てあがった状態をイメージします。

和裁の中でも柄合わせと裁ちがベテランの和裁士でも、いちばん緊張するけど、柄がいいように入ると緊張から解放され、晴れ晴れした気分で縫い始めるそうです。

着やすく仕立てるポイント

衽や衿のつけ方「キセ」「くける」といったことが、着やすく、そしてきれいに仕立てるために必要なポイントなのです。

「キセ」

和裁では、縫い目のすぐそばに「キセ」というものかけます。

すべての縫い目に1ミリか2ミリ離れたところにキセをかけ、縫い目が表側から見えないようにして、かつ、きれいな折り目がつくようにという役割があります。

表の糸を1本か2本すくってくけたり、ほんとうに細かなところが重要なようです。

「くける」

和裁ならではの「くける」というものがあります。

表に糸目が見えないように、裾や袖口などを三つ折りにして、運針の要領で布の内側をくけ、糸こきしながら針を進める縫い方です。

袷の着物にはありませんが、単衣の着物は裾、袖口、衿、脇縫いや衽などたくさんくけるところがあります。

単衣の着物は、袷より縫うのにはそれほど難しくありませんが、袷の着物より糸目が見えるので細かく縫い、くけるところがいっぱいあるので、時間もかかり丁寧に縫っているか、どうかが問われます。

まとめ

和裁は、手縫い、ミシン縫いがありますが、ここでは手縫いについて書きました。

当店は、男仕立ての和裁士が手縫いで、仕立てしておりますので、ミシン仕立てはお受けしていません。

男仕立ての手縫いをお試しください。

次回は、手縫いの工程(流れ)につきまして書きますので、読んでいただきたいと思います。

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